コロナ感染を防ぎながら日本での介護を目指す
日本同様にコロナ感染が急拡大しているネパール。 医療環境が劣悪なネパールであるが、日本人介護士の指導の下、日本同様の感染対策を行い、介護技術をしっかりと身につけようと頑張る学生の映像が届いた。
現在カトマンズ市内では、コロナ感染拡大を理由にほとんどの学校が一時閉鎖となっている。 当校では学生からの強い要望もあり、日本人介護士の厳しい衛生管理のもと、実習生に介護を指導している。
【ほとんど知られていないネパールの常識:】
日常生活で身につけたネパール流の介護指導
ネパールは公称36民族が暮らす他民族国家であり、6割以上のヒンズー教、3割強の仏教、自然崇拝をする土着宗教、キリスト教などいろいろな宗教を崇拝している。 宗教対立は全くないと言ってよい。 互いの宗教を認めあい、共存する数少ない温厚な国民のひとつではないだろうか。
ネパール人は文化的、慣習的に年配者を敬い、接することに喜びを感じるホスピタリティ精神が高い国民性であるため、他国以上に介護職の人材として勧めたい国の一つである。 こうした状況から新たな人材の供給国としてネパールに熱い視線が集まっている。
しかし、日本の介護施設が求めているような介護を習得する学生は、残念ながらまだまだ非常に少ないのが現状である。
理由:
・生活の中で見についたネパール流の介護(技術・観念)を指導
・介護習得度チェックが皆無
ネパールでは3世代が一緒に暮らす大家族が一般的である。 日本では長男が両親をみるという傾向だが、ネパールでは末っ子が家を継ぎ、両親と暮らすのが通常である。 また多民族国家であるため、家族や血縁による絆が非常に強い。 そのため、一緒に暮らす年配者を家族全員で世話しながら、生活をすることが当たり前。 良き日本の文化に似ていて非常に素晴らしいと思う。
しかし、自己流で介護で行っているため、介護を受ける人のことを考えて行われていないのが実情である。 力任せの介護や放置に近い介助など、日本では考えられない形で対応してしまっている傾向が強いのが残念である。
また、介護人材を育成する指導者にも問題がある。 例えば、日本では教育を指導するものは有資格者が行うのが通常であるが、ネパールでは日常生活の中で介護を見たことがある人や経験がある人が直接指導するのが一般的である。 介護をトレーニングする施設もあるが、ネパール流の荒っぽいスタイルで介護指導を行っている。
指導者はテキストを使って指導は行うが、学生が介護知識と技術をしっかりと習得できたかチェックを行っていない現状が多い。 生徒任せになっているのが気の毒である。 これは介護教育に限らず、ネパールの日本語学校も同様な指導方法で行っているところが沢山散見される。
当校では、ネパールで行われている介護教育の実態を鑑み、日本人介護士による指導を徹底し、日本企業が求めている人材を育成できるよう対応している
・日本人介護士による介護指導・習得度チェック
・日本人による日本語会話レベルチェック
・日本人による企業で働く常識を指導
上記3つの項目に合格できる学生になるよう、人材育成を行っている。 日本語力も大事であるが、介護を受ける人が安心して生活ができるよう、また施設が安心して彼らに介護を任せられるよう、先を見据えた指導に力を注いでいる。