特定技能ビザのバブルが続くネパール
ネパール政府をはじめ、メディアによる連日な報道もあり、過去に例がないほど特定技能ビザを目指す学生が非常に多い。 誰もが日本での仕事を夢見、特定技能バブルといっても過言ではない。 また多くの日本の企業等がベトナム人やインドネシア人の代わりの人材を求め、ネパールにやってきている。
こうした状況のなか、ネパール人学生の日本語熱は当分冷める様子はない。
彼らが考えている特定技能ビザは私たちが知っている内容とは異なる。 韓国政府が与えている就労ビザと同様なものだと考えているので、注意が必要だ。
ちなみに彼らは日本の特定技能ビザをG to Gビザと呼ぶ。
まず、彼らが思っているG to Gビザ(韓国版)を理解して頂きたい。
韓国政府がネパールをはじめ複数の国の学生に対して、韓国の農業や工業の慢性的な人手不足を補うために外国人労働者として受け入れるビザである。 あらかじめ国ごとに合格数が割り振られているため、韓国語の試験さえ受かれば自動的に韓国に行くことができるシステムだ。
また、試験合格後はネパール政府と韓国政府の取り決めによって一部の人材会社が書類作成を行い、韓国からの招聘状が届き次第、入国できるという流れである。ちなみ何処の企業に選ばれるのか、ネパール人は知る由もない。韓国側から届く書類にサインをして体一つで韓国に行くだけである。
韓国に労働者として行く学生は無料の宿泊施設、食事の提供を受けることができ、また週56時間の仕事が与えられるのである。そして来日後3回まで自由に会社を変更することができる。
このため、ネパールの学生はこの内容が日本の特定技能ビザにも適応されると思っている。
ちなみに、韓国人の仕事気質など理解していく学生は皆無という。ただ、お金のために行くだけなのである。
韓国のこうした制度により、実際働くネパール人は、給料が少ない場合や残業が少ない場合、すぐに会社を辞めてすぐに違う企業に移ってしまっている。企業が人材を獲得するために費やした時間とお金、また海外の人材を引き留めるために、自国の労働者よりも給与を上げなければならないので、経営者は非常に悩んでいると聞く。
これからネパールから直接、特定技能ビザで来日する学生を検討する企業にはこのような背景があることを知った上で、学生の採用されることを願うばかりである。
ネパール政府や報道各社が伝える情報には日本のイミグレーションで発表されているような、詳細な情報は皆無で、ネパール人学生を惹きつける内容ばかりである。 そのため、ほとんどの学生が日本に容易に行けて、簡単に働けると考えており、特定技能ビザを取得することが目標として、日本語を学んでいる状態。
いままで述べてきたように、日本政府や企業が求めている外国人材とは大きくかけ離れた人材がネパールから日本を目指そうとしているのが実情。
企業にとっては即戦力となりえる特定技能ビザの学生だが、今のところ直接ネパールからの特定技能ビザの学生を獲得するには、まだ控えられた方が良いかと思う。
むしろ、日本で滞在しているネパール人学生が特定技能ビザを取得された後、企業で働かれるほうが、企業様にとって大変有益である。
日本へ行く前にしっかりと語学(読み・書き・話す)を身につけ、就業(実習)する上で、しっかりと日本の会社の常識を学び、理解した技能実習生を確保した方が企業にとって、非常にメリットがあると思う。