外国人材の力を最大化する経営──ある社長が語った“人が育つ会社”
昨日、実習生が活躍する企業を訪問し、学生の近況と職場での様子を確認した。
学生たちの様子を確認後、社長自ら運転する車に同乗して事務所前に到着すると、そこで思いがけず深い話を聞くこととなった。

手に持った瞬間に、一束250gの重さがわかる学生に育てた学生に作業を任せる。 定期的に重さの確認をしながら自身のミスを限りなく無くす仕組みを作っている。
社長は静かに口を開いた。
「多くの企業は、人材不足を理由に外国人を雇っている。 しかし、それだけでは未来は変わらない。 彼らの力をどう活かし、どう利益につなげるか。そこに視点を持つべきである。」
その言葉には、単なる“労働力の補填”ではなく、外国人材を戦力として育てるという強い意思が込められていた。
若者が魅力を感じない理由は明確である。 やりがい、給与、成長機会──他業種と比べて見劣りすると感じれば、心は離れる。 だからこそ、経営者が工夫し、仕組みを作り、未来を示す必要があるという。
■ 厳しさと評価のメリハリが人を育てる
この企業では、4年以上前からネパール人実習生を受け入れ、今では先輩たちが特定技能として戦力になっている。
社長は言う。
「私は仕事に対して非常に厳しい。 しかし、褒める時はしっかり褒める。 間違えば指導し、繰り返せば叱る。 だが、ここでは誰も辞めない。 なぜか分かるか?」
その理由は、評価の仕組みが明確で、誰が見ても公平であるからだという。
努力すれば認められ、怠れば改善を求められる。 そのメリハリが、ネパール人材の“頑張りたい気持ち”を引き出している。
さらに、責任ある仕事を任せ、新しい挑戦を与え、自信を育てる。
時間内にどれだけ生産性を上げられるか、科学的根拠を示し、効率的な作業方法を共有する。 そしてその結果を体験させる。
先輩が新人を指導し、会社がその背中を支える──この循環が、学生が「この会社に残りたい」と思う理由になっている。
■ 母国での育成が企業の未来を決める
社長はもう一つ、重要なことを語った。

先輩と後輩が互い違いに入り、収穫時のポイントを教え、また効率よく収穫できるよう事細かく指示をする。
「この会社に合う学生を、ネパールでしっかり育ててくれている。それが大きい。」
確かに、企業からの人選要望は細かい。 学生の実習生したい意欲だけでは駄目である。
しかし、それは日本の組合から求められる内容と一致しており、私たちはその基準に沿って学生を育成しているだけである。
日本語ができるだけでは不十分である。 日本の常識を知っているだけでも企業の求める人材ではない。
企業が求める人材像をネパール側が事細かく理解し、その姿に近づけて送り出す──その仕組みが整って初めて、企業から高い評価を得られる。
「とりあえず日本に来て頑張る学生」と 「目的を理解し、準備して日本に来る学生」 この差は、入国時点から歴然である。

■ 経営者が外国人材に求めるべき視点
この社長の話は、外国人材を受け入れるすべての経営者にとって示唆に富む。
- 人材不足の穴埋めではなく、戦力化を目指すこと
- 厳しさと評価のメリハリを明確にすること
- 責任と挑戦を与え、自信を育てること
- 科学的根拠に基づく生産性向上の仕組みを作ること
- 母国での育成と連携し、適した人材を迎えること
これらが揃った時、外国人材は“辞めない人材”ではなく、“伸び続ける人材”へと変わる。
新たな技術者を育て、一人で機械を操る学生。 精度を高めるため、ひたすら練習を積み熟練者になってもらう。
■ 外国人材は未来を変える力を持つ
ネパール人材は、適切な選抜と育成を経れば、企業の大きな戦力となる。 その可能性を引き出す鍵は、経営者の視点と仕組みづくりにある。
昨日の社長の言葉は、こう締めくくられた。
「外国人だからではない。若者だからでもない。育てれば伸びる。評価すれば頑張る。人は皆、同じだ。」
この言葉に、外国人材活用の本質が凝縮されている。 そして、こうした企業が増えることこそ、私たちにネパールの送り出し機関、日本語学校にとって、とっても大きなやりがいである。