企業が安心できる日本人主導のネパール送り出し体制
弊社は、過去の経験および、組合様が教えてくれたトラブル事例を踏まえ、ネパール人経営者に任せる体制ではなく、日本人主導による日本語学校および送り出し機関の運営を徹底している。 かつては日本語ができる現地教員に指導・出席管理を一任していたが、入国直前になって虚偽報告が多数発覚し、重大な問題を引き起こした。 この経験を機に、ネパール国内で行われる日本語教育から送り出し業務に至るまで、すべて日本人の目が確実に届く体制へ少しずつ変化してきた。
ネパール側からは「とても厳しい」との声が上がるが、日本企業が求める水準(他国と同レベル)の人材を育成し、確実に送り出すためには不可欠な取り組みである。 他国(ベトナム・ミャンマー・インドネシア)と比較しても、ネパールでは自律的な学習習慣や規律遵守の文化が十分に根付いておらず、日本人による要所管理がなければ計画的な育成ははっきり言って困難である。 現在は日本人が主要業務を管理することで、育成プロセスが大幅に改善し、安定した人材供給が可能となってきている。
●授業後の清掃指導
ネパールでは「掃除は特定のカーストが行うもの」という固定観念が強く、学生自身が清掃を行う文化が存在しない。 当番制を導入した際には強い反発が学生から上がった。 しかし、日本の職場文化である「使用した場所を自ら綺麗にする」「汚さない習慣を身につける」ことは、実習生として最低限必要な素養である。 清掃指導は、職場規律を理解し、協働できる人材育成の基盤となる。

●日々の小テストの実施
ネパールでは毎日登校し、家庭で復習する習慣が非常に乏しい。 そこで弊社では前日の内容を確認する小テストを毎日実施し、結果を即時に事務方が確認・教室に掲示する。 成績不良者には面談を行い、継続か退校かを明確に判断させる。 厳しい運用ではあるが、日本で実習を経験した学生からは「もっと厳しくしてほしい」との声が多く、企業が求める基礎学力と継続力を確保するために不可欠な仕組みである。

●出席確認の日本側によるリアルタイム管理
ネパールでは無断欠席が極めて多く、最後まで学習を継続できる学生は全体の2割程度である。 現地教員に任せると虚偽報告が常態化するため、弊社では日本側がオンラインビデオで出席をリアルタイム確認している。 欠席時は理由書の提出と許可を必須とし、時として、その根拠となる情報を提示させて、虚偽報告するような学生の排除を行っている。 日本の常識に沿った規律を身につけさせている。
●全スタッフ参加型の会議運営
ネパールでは上層部のみの会議が一般的だが、弊社では教員・事務方・役職者を含む全スタッフが参加し、現状共有と改善策の協議を行う。 必ず議事録を作成し、参加者全員が署名することで、各自が業務責任を明確に持つ体制を構築している。PDCA(計画➡実行➡チェック➡改善)を継続的に回し、常に改善を続ける組織運営を実施している。 トラブルや日本からの要望があればすぐに議題を立ち上げ、みんなで問題を解決していく。

●雇用条件書の日本人同席による説明
ネパールでは学生と企業間で締結する雇用条件を簡略に説明し、学生を日本へ送り出す企業が多い。 小社では送り出し機関責任者が書類の内容を一つひとつ丁寧に説明し、学生が完全に理解したうえで署名することを徹底している。 説明時には必ず日本人が同席し、虚偽説明が行われていないかを確認することで、日本へ行った後の大きなトラブルを未然に防ぐ。

ネパールの送り出し機関の多くは、残念であるが日本企業との接点を確保し、学生を送り出すこと(お金)のみを目的として事業を行っている。 日本側が求める水準の人材育成や、書類・情報の正確性を重視する機関は極めて少なく、実際に日本人が管理できている体制を整えている送り出し機関は限られているのが現状である。
私はネパールに33年以上関わってきたが、ネパール人は対面では非常に優しく、低姿勢であるため、日本人からの印象は良い。しかし、仕事となれば都合の悪い事柄に対して言い訳を重ね、結果として日本側が大きな損害を被る事例を数多く経験してきた。こうした背景から、ネパールで送り出し機関と連携する際には、信頼性の高い機関を慎重に選定し、学生の質を厳格に見極めることを強く推奨する。
ネパールが本来、政治的にも経済的にも健全に機能する国であれば、現在よりもはるかに発展しているはずである。 しかし現実には、制度の脆弱性、規律意識の不足、虚偽報告の常態化など、構造的な問題が多大に存在している。 これらは送り出し機関の運営にも直結し、日本企業が求める水準の人材を安定的に育成・供給することを他国に比べ困難にしている。
そのため弊社では、日本人が要所を直接管理し、教育・出席・書類説明・面談・会議運営など、すべての工程を透明性の高い形で実施している。 ネパールの文化的背景や慣習を理解したうえで、日本企業が安心して受け入れられる人材を育成するためには、外国人主導の管理体制がネパールでは不可欠であると確信している。
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