国政選挙一色のネパール
今、ネパールが揺れている。
普段の穏やかな時間が流れるヒマラヤの麓。 しかし、今週行われる国政選挙を前にその空気は一変している。 日本での静かな選挙戦とは対照的に、現地では「過熱」という言葉では足りないほどの、激しく、時には過激な政治の嵐が吹き荒れている。
緊迫の東端、ジャパ県 特に注目すべきは、東の要衝ジャパ県(カトマンズから車で15時間)だ。 この地は、再起をかける元首相K.P.シャルマ・オリ(UML:共産党統一マルクス・レニン主義)と、昨年の民主化運動を経て彗星のごとく現れた「ラッパー市長」ことバレン・シャ(RSP:国民自由党)が激突する、今大会最大の激戦区となっている。 対立候補同士の支持者がぶつかり合い、各地で交通封鎖が発生。さらには候補者を狙った爆弾未遂事件まで報じられるなど、民主主義の祭典は一歩間違えれば暴動へと繋がりかねない危うさを孕んでいる。
のんびりと暮らしていた人々が、文字通り「命がけ」で自国の未来を議論し、街は政党の色に染まりきっているのだ。
中東の火種がネパールを直撃する
この国内の混乱に追い打ちをかけるのが、一昨日世界を震撼させたアメリカ・イスラエルによるイラン攻撃だ。 ネパールにとって、これは遠い国の出来事ではない。 現在、100万人、200万人とも言われるネパール人が中東へ出稼ぎに出ており、その送金(レミッタンス)が国家予算の約3割を支えているからだ。
出稼ぎ労働者の安否:
攻撃の影響を受ける地域には、多くの若者が働いている。 経済の停滞: 中東情勢の悪化は、航空便の欠航や新規労働許可の停止を招き、ネパール経済の生命線を断ち切りかねない。 混沌の先にある「答え」 「汚職にまみれた旧体制」か、「変化を掲げる新勢力」か。 内政の激動と、外海から押し寄せる地政学的な不安。 これほどまでに多くの事象が複雑に絡み合った選挙が、かつてあっただろうか。 ネパールの人々が、怒号と砂塵の中で選ぶ未来はどこへ向かうのか。この国に関心を寄せる者として、我々はその結果を、そして彼らの安全を、固唾を飲んで見守る必要がある。
こうした状況により、今後ネパール人の海外への就労に関する目が変わりそうだ。 中東方面の危険からアジア地区への出稼ぎ志向に変わる可能性が出てきた。
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